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サイヤ人の物語 [黒歴史]

あなたはドラゴンボールを御存じでしょうか?
7つ集めるとギャルのパンティがもらえる伝説の玉を巡り繰り広げられる一大叙事詩です。
その作中に、サイヤ人と呼ばれる伝説的種族が登場します。
本日は、その真実の謎を解き明かそうと思います。

彼らの正体…

fun.jpg

それはフン族でした。
その名の由来は、一族の王の口癖からだったといいます。
彼らは戦闘民族でした。すなわちバトル民族であり、北欧のバルト海周辺を初期の狩場として経験値とゴールドを稼いでいたといいます(バルト海の名の由来はバトルから来ています)。
一説に、彼らは地下世界からやってきたと言われています。アルザルと呼ばれる空間です。また別の名では、アレフガルドとも呼ばれました。彼らは、その世界の「伝説の勇者」の末裔だと自負しています。アイスランドのスネッフェルス山の火口から地上世界へとやってきたとの説が知られていますが、今となっては真実は誰にもわからないでしょう。

彼らは、圧倒的な武力で周辺部族とモンスターを狩り、敵がいなくなるとまた他の狩場へと移動…という行為を繰り返しながら際限なくレベルをあげていきました。その成長方式は「俺の屍を超えて行け」方式だったといいます。彼らは世代を重ねるごとに強化が底上げされていきました。先祖の力のみならず、記憶や意思さえも受け継ぐことができました。ギリシアにつくころには、赤ん坊の状態ですでに大の大人が瞬殺されるほどでした(神話のヘラクレスもサイヤ人の恐怖をベースに作られたといいます)。エジプト王朝にモーセの時代に起きた、さまざまな現象も、彼らの起こした技にすぎません。

最終的に、彼らはこの日本にもやってきました。
その先遣隊として、一人のサイヤ人が送り込まれました。これが、天穂日……土師氏の祖先であり、菅原道真に繋がる血筋のはじまりです。彼は球形のポッドに入れられ、赤ん坊の状態で送り込まれました。ですが、それを発見した老夫婦があまりにも全力でポッド(桃のかたちをしていたと伝えられます)を斧でまっぷたつに叩き割ったため、記憶をすべて失ってしまいました。
子供は、力強くわんぱくに育ち、幼名を孫悟空と呼ばれたといいます。

しかし、平和は長くは続きませんでした。
一族最強の二人組――侵略軍本隊――が空からやってきたのです。


彗星・・・・


古の人びとはそれを不吉の前兆とみました。
夜空を彗星が切り裂くとき、それは戦乱の時代の幕開けだと。平穏な日常は終わりを告げ、ただでさえ塗炭の苦しみのうえに、さらに血と錆と炎さえもが塗りこめられる…。

それは、事実だったのです。

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日本攻略のために送り込まれた最強の二人組。
彼らは、日向国の高千穂峰に降り立ったといわれます。
天孫降臨神話を携えた、正真正銘のサイヤ人の本体です。彼らは東へ東へと移動する過程で、それぞれ世界各地の王として定住し、遥か辺境の日本へとやってきた時点では、東征を継続しているのはたったの二人でした。ですが、この二人こそが最強でした。安定した豊かな暮らしになど興味はなく、バトルのみが生きがいでした。
その最後の到達点――日本。彼らは感じていたのでしょう、ここに人生をかけて相対するにふさわしい”好敵手”がいることを……。
その予感は、見事に当たっていました。

成長した天穂日(地上人の呼び名では孫悟空)は、出雲王国の偉大なる導師・亀仙人のもとで修行にはげみ、手からビームを出せるほどの武術の達人になっていました。ちなみに、その当時の出雲は、日本のほぼ全土を治める巨大な王国でした。北陸から、北九州まで、その領域は及んだといいます。

ある日、一夜にして北九州が消滅したという伝令が出雲の王・大国主のもとに伝えられます。
どうやら、めちゃくちゃ強い正体不明の二人組がやってきたぞ、という話でした。

長きに渡る平和に、かつては八千矛神との異名をとった大国主も一瞬で震えあがてしまい、全権を二人の息子に預けると、その当時は16丈(48メートル)もあったという出雲大社の頂上にひきこもり、三角座りのまま一個も動かなくなってしまいました。

襲い掛かるサイヤ人最強のツーマンセル。
名を、武布都と豊布都といいました。記紀神話ではふたりを合わせて初代天王・神武として伝えています。その強さは圧倒的でした。草を蹴散らすように無双状態で東へ、東へとと突き進んでいったといいます。
最盛期出雲の神政一致の国家中枢は畿内にありました。彼らの見る西の方角に、赤い砂塵が吹き荒れない日はありませんでした。その砂塵はすべて吹き飛ばされた人間の体……その赤は人の血でした。人びとは震え上がりました。
大国主のふたりの息子の一人、事代主はある日、突然、手を逆さにして拍手を打つと、大笑いしながら海の中にもぐってしまいました。二度と、浮かんでくることはなかったと言います(一説には、サイヤ人に対する最後の「切り札」を手に入れるため、海の底に眠る竜宮城へと向かったと伝えられています)。

残されたもう一人の息子――王国騎士団の長であるタケミナカタは全軍をもって対決することを決意しました。
この時の戦いを『富氏家伝』はこのように伝えています。


神武が九州から攻めて来た。
勢力を回復していた我々は穴門(長門)で迎え撃った。

神武は、防府、河内、熊野などで6人死んだが七人目の神武は強かった。
我々は「カラの子」と呼んでいた。

朝鮮からのヤタガラスが神武の味方にについた。
彼らは和解すると見せかけては、次々と出雲人を殺していった。
まことに陰険であり、残酷であった。

(本当かどうかは知りません)


タケミナカタの軍勢は、7時間で絶滅したといいます。
それはただ単純に、二人のサイヤ人が100万の軍勢を順番に殺していくのにかかった時間以上のなにものでもありませんでした。敵の力は圧倒的でした。
出雲最強の武人、タケミナカタは敵の攻撃を腕で受け止めようとしたところ、あっけなく腕が吹っ飛んでしまいました。呆然とするタケミナカタの残された片腕も、次の瞬間には消滅していました。両腕を失ったタケミナカタは、今の長野県の方まで走り去っていったといいます。

わずか半日にも経たぬ、王国騎士団の壊滅。
終わった……すべての希望は潰え去ったと誰もが思ったそのときでした。
ひとりの青年が神武の前に立ちふさがりました。


その名を、天穂日またの名を孫悟空といいました。


バルト海からはじまり、コツコツとレベル上げをしながら世界を冒険してきたサイヤ人の旅は、ここ日本をその終着点とします。
あまりにも最強であり、また最凶であり続けた彼らにとって、遥かなる東征の旅路へのロマンも次第に色褪せたものとなっていきました。
敵がいなさすぎる・・・・最強の孤独。
やがて、そのビジョンに彩りをなすものは、ただ殺戮の鮮血だけとなっていました。血を見たいがためだけに血を求める……一族の武人の誇りは、獣のそれへと成り下がり、やがて、戦いに飽きたサイヤ人たちは、次々と気に入った土地土地に定着し、その地で「王」として君臨する道を選びました。

ですが、まだ瞳に極彩色の野望を燃えたぎらせるサイヤ人が二人だけいました。
「まだまだ強い奴がこの世界にはいるはずだ」。それと戦うことだけが彼らの生涯をかけるに値する夢でした。

そして今、その夢の果てを、彼らは目の前に立つ青年の瞳の中に見出しました。

彼らはお互いの名前すら知りませんでした。ただ、対峙した瞬間にすべてをわかりあえました。
同じ夢と野望を共有した、友。そして、その夢が夢であるために並び立つことは決して許されない敵。
それをライバルと言います。
受験戦争や社会競争の中で自然と身にしみついてしまう、互いに潰しあい足を引っ張りあう関係ではありません。互いに高めあい、その頂点を共に目指しあう関係――。

saiya.JPG

それが天穂日と神武だったのです。

戦いは七日七夜に及びました。ただし、その大半は「はぁぁぁ……っ」と気をためる時間だったといいます。恐らく、実質的な戦いは2~3時間程度だったでしょう。
戦いの詳しい内容は、ドラゴンボールの20巻を読んで頂きたいと思います。結局のところ、それが一番てっとり早いという結論に至りました。

漫画と史実で異なるのは、最後だけのようです。

激しい戦いのさなか、突然、奇妙にテンションのあがる軽快な音楽が流れました。
神武のLVが99にあがった音でした。
その瞬間、彼は目的を失ってしまいました。
最強の孤独を抱えた魂は、ライバルとの死闘によって絶対的な充足感で満たされ……そして今、それは、一転して永遠の虚無へと変わりました。
一方の天穂日のLVも、戦いの中で98に上昇していました。神武の片割れ――ナッパを倒した瞬間に一気に急上昇したのです。あと一撃、天穂日のパンチが命中すると、彼のレベルもLV99になるという状態でした。

生涯で味わったことのない至福のバトル体験。そして、一転しての絶望感……。

神武はこの悲劇の感情を、ライバルである天穂日に体験させたくはありませんでした。
ゆえに、空中に飛び去っていきました。

戦いは突然にして終わりました。

二人がその後どうなったかは記紀神話は黙して語りません。
ただ、神武が飛び立っていった彼方……千葉県の房総半島に残る九十九里浜の地名は、彼がLV99になった証として名づけたのだという伝承が今も人びとに語り継がれています。


おわり




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