鴨が如くZERO [黒歴史]
『山海経』には一本の不思議な木の伝承が記されています
それは、はるか東海上に立つ巨大な木であり、そこから太陽が昇るといいます。
そんなものが本当にあるのかどうか、あったならどこにあったのか?
・・・今も、そんな議論が続いています
しかし、古代の人びとはそれが事実であることを知っていました。
自分たちの目で、実際に見たのですから・・・・
それはおおいなる火でした。
空の太陽をすら飲み込んでしまうほどの圧倒的な爆炎と煙・・・
それを、中国の人びとは東の方角にハッキリと見ていました。
彼らにとってその姿は、巨大な木のようにみえました
古き太陽を飲み込んで、新しい太陽を生み出す巨大樹・・・
もうもうと立ちふさがる暗黒のむこうに、おぼろげに浮かび上がる太陽の姿
それは、新しい太陽が果実のように実りゆくさまでした
そして・・・・
人間には、火に引き寄せられる本能があります
どこかで火事があると、野次馬が大量に押し寄せてきます
ちょうど、それと同じようなことが各地で起こりました
「ちょっと見てくるわ!」
そう言って、人々は次々と東の果てを目指しました
・・・彼らがその後どうなったかは誰にもわかりません
やがて、消え去った人々を懐かしむ気持ちと
その悲しみを癒すため人びとは伝説の木の物語を語り始めました
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長い、長い歳月がすぎさりました・・・・・
中華の王朝はいくたびも変わり、そのたびに無辜の民の血が犠牲に捧げられました
そして、一人の覇王が中華の全土に君臨したとき
斉の国に住む、一人の道士の野心にも火が灯されました
男の名は徐福
秦の始皇帝のとおい血縁にあたるだけの、貧しいその日暮らしの道士でした
巨大樹の伝説はいくえにも尾ひれがつき、今も人々の夢想ははばたき続けていました
その木の果実を口にしたものは永遠の命を手にする――そう、言われていました
「不老長寿の果実を探しだし、われに届けよ」
偉大なる皇帝より、そんなお触れが出されたのはいつのことだったでしょうか
やがて、彼はおおいなる野望を成し遂げたといいます
初めまして。ご訪問・nice! ありがとうございます。☆
by ゆうのすけ (2015-03-07 00:44)