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トランシルヴァニアの真実 [黒歴史]

ルーマニアの片田舎、カルパティア山脈とトランシルヴァニア・アルプス山脈にはさまれるあたりに、まるで揺り籠の赤ん坊のように安らかな寝息を立てる小さな村があります。

その、時に忘れられたような村の名を、トランシルヴァニアといいました。

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そこは、動物たちが楽しく暮らす、平和な楽園として知られています。
とてものどかで、平穏で、何かしらのイベントといえば、村人同士の誕生日くらいです。彼らはみんながお互いの誕生日を知っています。自分がプレゼントをもらうのも好きですし、相手にプレゼントを贈るのも大好きだったからです。
そんな、ただ、時間だけがゆったりと流れていく・・・移りゆく季節の中で、ほとんどの住人達はのんびりと何をするでもなく、その時々を気ままにまったりと楽しむ生活を送っています。
村には名産品といったものもありませんし、生活は楽ではありません。
ですが、住民たちはそれこそが、一番の豊かさなのだということを知っているのです。

ただ、住人がひとつだけ恐れているものがありました。
それは、満月の夜でした。

満月の夜、住民たちは我を忘れ、血を求める悪鬼へと変貌してしまうのです。

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血の饗宴から覚めた住民たちには、記憶は何もありませんでした。
それだけが、唯一の救いでした。同時に恐怖でもありました。
前日まで楽しくおしゃべりしていた隣の奥さんが、満月の夜が明けたとき、冷たい躯となって目の前に横たわっているのです。自分の手には、手にした覚えすらない包丁が握られ……そこから赤い血を一滴、また一滴と垂らしながら…。

皮肉にも、この現象によって人口調整機能が働くことこそが、この何もない村が穏やかな時の中で変わらずあり続けられる理由でもありました。

何故、こんなことになってしまったのか・・・。

それには、15世紀にこの地を治めたヴラド三世の伝説からはじめなくてはならないでしょう。
またの名をドラゴン・ボーン。竜の息子と呼ばれていた人物です。




長い間、謎に包まれていたヴラド三世の正体を解く鍵が、アイルランドが生んだ偉大なる作家ブラム・ストーカーの記した書に残されていました。
その内容を、ここから抜粋します。


「我らセクリー人には、主君のためには身を打ち捨てて、獅子奮迅に戦いぬくという、雄々しい血が流れておる。これがセクリー人の誇りじゃ。古代ヨーロッパ民族のうち、フィン族は雷神トルより戦の精神をさずかってアイルランドより起こり、猛威果敢なその戦士たちは、ヨーロッパは申すに及ばず、アジア・アフリカの沿岸にその猛威をふるい、ために世人は、彼らをば豺狼の化身なりとして、大いに恐れたものじゃ。(以下略)」




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